病識とは「自分の病気を認識し、正しく理解していること」です。このことについて、代表的な2つのアレルギー疾患を比較して考えてみましょう。特に今回は患者さんの受診スタイルという観点からみてみたいと思います。『アトピー性皮膚炎を診てほしい、治してほしい、痒みをとってほしい』という患者さんは数多くいらっしゃいます。乳児などに限って言えば、我が子をアトピー性皮膚炎と認めたくないという保護者の方は少なくありませんが、大きなお子さんや成人の方だと、上記のようにはっきりと受診理由を表して下さいます。一方で、『ぜんそくをしっかりと診てほしい』という患者さんは意外と多くはありません。これは喘息の患者さんが少ないということではないのです。どういうことかと言えば、喘息の患者さんは症状が強い時(咳き込む、ゼーゼーする、息苦しいなど)になると初めて病院を受診するのです。『アトピーは常に痒いからつらいのです。ぜんそくは発作がない時は苦しくも何ともありません。』と、患者さんは訴えるかもしれませんが、残念ながら喘息という病気を十分に理解していない表現と言えます。まさに病識を欠いた状態なのです。5月27日付けのブログをもう一度読んでいただきたいと思います。
高血圧・糖尿病・肥満などの成人病も、まずはしっかりとした病識を持つことから治療がスタートするのではないでしょうか。平常時に症状が目立たない病気はむしろ恐いのです。